再生医療最前線1 iPSの臨床試験始まる 異業種大手も存在感=野村広之進
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再生医療というキーワードを最近よく耳にするようになった。実は、再生医療自体は控えめにみても1970年代から研究されてきた、長い歴史のある医療分野の一つである。ただ、技術的に難しいことや、安全で効果があるのかが分かりにくかったことなどから、長年にわたって限られた病気だけに使われていたのが実態だった。
ところが2000年代に入って、iPS細胞の発見などを含む多くの技術革新があり、再生医療のより大きな可能性が見えてきた。同時に、これまでの治療法では十分に対応できない病気も明確になりはじめ、にわかに新しい治療法としての注目が高まっている。
18年は再生医療業界にとって記念すべき年であった。世界初のiPS細胞由来の細胞を用いた臨床試験を移植片対宿主病(GVHD、造血幹細胞移植後に多臓器に障がいが起こる合併症)に対して豪サイナータ社が英国で開始し、年末に良好なデータが発表された。国内初となった京都大学・高橋淳教授らによるパーキンソン病への医師主導治験には、大日本住友製薬が連携しており、第1例目への投与が始まった。こうした臨床試験や治験…
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