国際・政治エコノミストリポート

米朝交渉「決裂」打開へ ボールは北朝鮮側にある=礒崎敦仁・慶応義塾大学准教授

礒﨑敦仁 慶応義塾大学准教授
礒﨑敦仁 慶応義塾大学准教授

 合意なしに終わった第2回米朝首脳会談や今後の米朝交渉の行方をどう見ればいいのか。北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学の礒崎敦仁准教授に聞いた。

(聞き手=桐山友一・編集部)

 第2回米朝首脳会談は合意なしに終わり、事実上決裂した。トランプ大統領は第2回の首脳会談後、「交渉自体は破綻していない」というメッセージを送っているが、3回目の首脳会談の日程も決まっていない。トランプ大統領の任期が21年1月の満了まで2年を切り、国内で不安要因を多く抱える中で再選されるかも分からない。北朝鮮側は昨年9月から今回の首脳会談を求め続けてようやく実現した経緯があり、3回目をセットするには時間を要することになる。

 北朝鮮側は今回、なんら合意が得られないことを、まったく想定していなかった。合意ゼロの可能性が少しでもあるならば、朝鮮労働党機関紙『労働新聞』や朝鮮中央テレビで大々的に米朝首脳会談について報道する必要はなかった。とりわけ『労働新聞』は北朝鮮の人々が読む義務を課されており、影響力は非常に大きい。『労働新聞』では金正恩(キムジョンウン)委員長が米朝会談に向け出発したことなども大きく報じていた。

残り1283文字(全文1774文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事