週刊エコノミスト Online終活で頼れる税理士・司法書士・社労士

生前に奥の手 売れない・畳めない会社=黒崎亜弓

 特に問題になるのは実質的に債務超過のケースだ。中小企業の借り入れでは、金融機関が経営者の個人保証を求める慣行があるため、債務は経営者個人に引き継がれる。そのため会社を畳むに畳めず、経営者の存命中は事業を続け、死後に遺族が相続放棄などの手続きをとることが多い。

 このような実態に対し、公認会計士・税理士の小木曽正人氏は、「自己破産」という手段を挙げる。「資金繰りに苦しみ続けるより、慎ましく余生を送ることを選ぶ人もいるだろう。経営者に選択肢を示すのが顧問税理士の役割ではないか」。破産手続き自体は弁護士が行うこととなる。

 一方、「負の相続」を専門に扱う椎葉基史司法書士が推奨するのは、死亡保険と限定承認という相続手続きを組み合わせる手段だ。死亡保険金は相続税の課税対象ではあるものの、民法上の相続財産とはならない。経営者が生前に死亡保険を掛けておき、限定承認の手続きをとれば資産の範囲で負債を引き継げばいいので負債を相続することはない。さらに死亡保険金を使えば、自宅を取り戻すことができる。

残り237文字(全文682文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月10・17日合併号

EV戦争202314 BYD、実質253万円の黒船EV 圧倒的な低価格で日本に照準■稲留正英17 トヨタのEV戦争 ソフトと製造の競争力確立が急務■中西孝樹23 中国で日本車苦戦 大衆車市場でシェア落とす■湯進26 急成長テスラ サイバートラックは予約200万件 ■土方 細秩子28 日本車への警鐘  [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事