週刊エコノミスト Online終活で頼れる税理士・司法書士・社労士

国税庁の一撃 “節税保険”バブルの終焉=黒崎亜弓

 2月13日夕に開かれた、生命保険協会の「拡大税制研究会」。この場で伝えられた国税庁の方針は、保険各社にとって晴天のへきれきといえるものだった。中小企業の経営者向け保険商品のうち、解約返戻金がピーク時に50%を超えるものについて、保険料の損金計上の扱いを見直すというのだ。

 中小企業向け保険は本来、経営者が死亡するなど経営を担えなくなった際、資金繰りに窮したり、事業承継に資金を要したりする事態に備えるもの。ただ、保険料は会社の損金として計上できるので、利益を減らして法人税を圧縮する効果を持つ。商品設計によっては保険料全額を損金計上できる。解約返戻金が高いタイミングで解約し、支払った保険料を取り戻すというわけだ。

 研究会翌日の14日、「扱っている各保険会社からいっせいに電話がかかってきた」とある税理士。大手生保4社は該当の商品について販売を休止。他社の中には「国税庁の方針について顧客に伝え、事後的に損金計上割合が変わるかもしれないことを了承の上で」一部商品の販売を続けた社もあったが、2月いっぱいで販売はほぼ止まったようだ。

残り786文字(全文1252文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月16日・23日合併号

今こそ知りたい! 世界経済入門第1部 マクロ、国際政治編14 長短金利逆転でも景気堅調 「ジンクス」破る米国経済■桐山友一17 米大統領選 「二つの米国」の分断深く バイデン、トランプ氏拮抗■前嶋和弘18 貿易・投資 世界の分断とブロック化で「スローバリゼーション」進行■伊藤博敏20 金融政策 物価 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事