週刊エコノミスト Online為替でわかる世界経済

インタビュー 渡辺博史・国際通貨研究所理事長 貿易だけを見た議論は時代錯誤

渡辺博史 国際通貨研究所理事長
渡辺博史 国際通貨研究所理事長

最終需要に「円安」が効かない現代 貿易だけを見た議論は時代錯誤

 元財務官の渡辺博史氏に、為替を議論する上で必要な視点とは何かを聞いた。

(聞き手=大堀達也・編集部)

 為替の水準をめぐっては、よく円高派と円安派に分かれ、「“日本にとって”どちらがよいか」という議論が起きる。だが、議論の立て方として、単純に“日本にとって”とするのは間違い。「今の状況であれば円高と円安、どちらがよいか」というように、経済や製品の生産構造の状況に応じた議論をするべきだ。

 例えば、1970~80年代の日米貿易摩擦の時代と現在とでは状況が大きく異なる。日米貿易摩擦が激しかった時代は、米国も日本も同じような電気製品を作って売った。米国は部品生産と組み立てを国内で行い、日本も原材料調達以外は国内で行った結果、最終製品価格の競合が起きた。当時は円が安かったために日本製品が米国製品を圧倒した。国内で生産が完了した時代は、日本では価格競争力が増す円安が肯定された。

残り1076文字(全文1494文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事