トルコ 「リラ安」内需減でも輸出拡大が起爆剤に=中島敏博
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足元のトルコ経済に対する評価は厳しい。内需は減退しており、インフレ抑制のきっかけを民間企業の自発的値下げに求めるほどである。しかし、景気回復の起爆剤になる要素も見いだせる。
まず政治面では、エルドアン大統領が3月の統一地方選挙で、長期にわたった選挙プロセスを終える。この結果、権力の集中による安定した国体が維持されるだろう。欧州基準では政治リスクとみなす向きもあろうが、視点を中東の基準に移せば、安定した政権運営と肯定的にとらえられる。
昨年8月のリラ安によって、外資によるM&A(企業の合併・買収)の動きも活発化している。外国投資の活性化は景気の回復につながるとあって、トルコ人のマインドは上向き始めている。トルコは伝統的に、内需が減退すれば、その分が外需拡大に向かってきた。実際、昨年来の経済の牽引役は輸出だ。トルコの多くの製造業は、輸入品を加工して輸出するため、リラ安はコスト上昇圧力になる。しかし国内調達率が高い食品や繊維、衣料…
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週刊エコノミスト
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