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後継ぎがいない! 会計事務所同士の買収 進む大手の寡占化=岡田英
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「父が病気になった。会計事務所を継ぐ人がいない。どちらかご紹介いただけませんか」。会計事務所の事業承継の仲介を専門に扱うエヌピー通信社事業承継・M&A支援室の大滝二三男室長のもとには、こうした承継先を探す依頼が年間数十件あるという。
「本人ではなく、奥さんや子供さんから連絡が来ることも多い」と大滝室長は言う。数年前、関東地方にある会計事務所長の息子から「父の事務所のことで相談がある」と電話があった。所長税理士を務める父親は、体の調子が悪いが決して引退を口にせず、老体にむち打って事務所経営を続けているという。息子は万が一の事態に備えて、相談の電話をかけてきたのだった。
しかし、なぜそこまで無理して経営を続けるのか。よくよく話を聞くと、息子は重い口を開き「父は私を後継ぎにしたいのだが、私には税理士資格は取れない。でも合格するまで父は経営を続けるつもりなのだろう」と打ち明けた。税理士試験は11科目あり、必要な5科目合格には数年以上かかるとされる。合格率も15%という狭き門だ。息子は資格取得を断念しており、所長税理士の妻も引退を望んでいるのを確認したうえで、息子に「…
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