教養・歴史書評

反発から手にした本に圧倒され、力をもらう=孫崎享

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 私は比較的美術館を訪れるほうだ。19世紀の中ごろ、英国で活躍したラファエル前派の代表作にジョン・エヴァレット・ミレー作『オフィーリア』がある。オフィーリアが川に浮かんだ姿を描いた絵で、もちろん美女である。

 宝島社が企業広告に「死ぬときぐらい好きにさせてよ」のキャッチコピーと共に、オフィーリアの代わりに樹木希林を水に浮かばせる写真を発表した。「やめてよ」である。

 本屋に行ったら、この写真を表紙にした『樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』(樹木希林著、宝島社、1200円)があった。写真に強い反発を持っていたから逆に手にすることになった。「…私の顔。これはミスして出て来ちゃったわけですよ(笑)。でもこのミスを活かそうと思ってやってきた」。

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