相続編 過払い相続税 「還付バブル」は崩壊 申告額も小粒化=岡田英
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払いすぎた相続税を取り戻す「還付バブル」がはじけた。国税庁が、還付バブルの主な発生要因となっていた「広大地」という土地の評価ルールを2018年の相続分から変更し、相続税評価の際の減額率を大幅に縮小したためだ。さらに、1件当たりの相続額が小粒化していることも背景にある。
相続税の申告は被相続人の死後10カ月以内に行う必要がある。その当初申告を、相続専門の税理士が「セカンドオピニオン」として「間違い探し」をする。過払いが判明すれば税務署に取り戻しを請求(更正の請求)。税務署に認めれば還付され、税理士は成功報酬を得る。この「還付ビジネス」は、11年に請求期間が1年から5年に延長されたのをきっかけに広がり、15年に相続税がかかる遺産の基準引き下げで課税対象が拡大すると増加ペースが加速。「バブル」さながらの活況を呈した。沖田不動産鑑定士・税理士事務所の沖田豊明所長は「2億円戻って来たこともあった」と振り返る。
なぜ「間違い」が起こるのか。税理士の多くは、企業顧問として所得税や法人税の扱いには慣れているが、相続税申告はまれ。特に、相続する土地の評価では、さまざまな減額要件を適用するほど評価額を抑え、相続税を少なくできるものの、適用できるかを見極めるには知識や経験がいる。そのため、不慣れな税理士ほど減額要件を見落としたり、税務署から「過少申告」を指摘されるのを恐れて高めの土地評価で申告し、過払いが発生して…
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週刊エコノミスト
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