テクノロジー図解で見る電子デバイスの今

高品質の酸化ガリウム結晶へ 国内2社が異なるアプローチ=中村剛/28

     前回(4月2日号)の本欄では、次世代パワー半導体の新星として期待されている酸化ガリウム(Ga2O3)の持つポテンシャル、今後の市場拡大への期待、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)における研究開発の取り組みなどを紹介した。後編となる今回は、民間企業で酸化ガリウムの事業化を進めている国内の2社、ノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市)とFLOSFIA(フロスフィア、京都市)の2社の取り組みを紹介し、今後の展望を探りたい。

     本題に入る前に、半導体材料の製造技術の重要性について述べたい。半導体デバイスは原材料である円盤状の基板(ウエハー)の上に回路を形成し、個別のチップに切断することで作られる。原材料はシリコンをはじめ、先行して事業化されている次世代パワー半導体の炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などがあるが、材料の品質は半導体の性能に直結する。単元素で構成されているシリコンと違い、複数の元素を材料とする半導体を「化合物半導体」と呼ぶが、SiC、GaN、酸化ガリウムはいずれも該当する。

     半導体デバイス製造に用いるウエハーは、大きく成長させた原材料の結晶を板状にスライスして作られる。化合物半導体はシリコン半導体に比べると高品質な結晶を作ることが難しく、コストが高くなるという問題がある。また、半導体はウエハーサイズを大きくする(大口径化)ことで1枚当たりの取れチップ数を増やし、コストを削減しているが、化合物半導体は結晶を大きくすることが難しいので大口径化が進んでいない。

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