『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史(上・下)』 評者・浜矩子
著者 カート・アンダーセン(作家) 訳者 山田美明、山田文 東洋経済新報社 (上・下)各2000円
思い込みの虜であり続けた壮大な歴史の絵巻物
これはアメリカの家系図だ。16世紀から今日にいたる時の流れの中で、何がどうしてどうなって、誰がどこで何をして、誰に誰がどう関わってきたか。ご先祖様たちがアメリカの大地に踏み込んで以来、どんな経緯の中で、アメリカという家系はドナルド・トランプを産み落とすに至ってしまったか。この経緯を文章で図式化してくれている。
とてつもなく長くて入り組んだ絵巻物が、読み手の前でスルスルと広げられていく。この壮大な絵巻物には、それを貫く統一メインテーマがある。それが「ファンタジー」だ。アメリカという家系に通底するものが、幻想だ。それぞれの時代にその時代の幻想がある。「我々ってこうなんだ」という激しい思い込みが、絵巻物にどんどん新たな絵柄を描き加えていく。
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週刊エコノミスト
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