教養・歴史書評

『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 健康経営の新展開』 評者・加護野忠男

     健康経営に取り組む企業が増えている。経済産業省と東京証券取引所は、健康経営に熱心に取り組む企業を健康経営銘柄として選定し、公表している。この選定は2015年から始まり、18年には26社が選定されている。

     本書は、健康経営をさらに進めてウェルビーイング経営を推進することを提唱している。ウェルビーイング経営とはどのような経営なのだろうか。著者は、アメリカの心理学事典に依拠して、ウェルビーイングを「幸福感や満足感があり、それほど大きな悩みもなく、身体的、精神的に健康で生活の質も高い状態」であると定義している。ウェルビーイング経営は、健康経営を土台とするもの、健康経営の発展形とみなすことができる。

     なぜいまウェルビーイング経営なのだろうか。健康経営に限界があるからである。著者によれば、健康経営の限界は次の点にある。健康は従業員にとって重要な問題であることは確かだが、職場での満足感や幸福感もそれに劣らず重要であること。健康経営では従業員への便益という側面のみが強調され、会社の業績向上への関心が乏しいこと。健康経営では過労死をなくす、あるいは働きすぎから来る疾病を予防するという守りの姿勢が強い…

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