教養・歴史書評

『世界経済、最後の審判 破綻にどう備えるか』 評者・池尾和人

    著者 木内登英(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト) 毎日新聞出版 2000円

    グローバル金融危機に警鐘 今後の日本の役割示唆

     わが国ではリーマン・ショックと呼ばれることの多い先般のグローバル金融危機から、10年超が経過した。近年の金融危機の周期からすると、新たな金融危機が発生してもおかしくはない時期を迎えているといえる。本書は、実際そうした金融危機発生のリスクは高まっているとし、世界経済の現状に関する幅広い分析を通じて、深刻な危機の発生を回避する道を探ろうとしたものである。 まず本書では、リーマン・ショック以降、生産性上昇率、潜在成長率といった世界経済の潜在力が低下していることが指摘されている。その分だけ所得の伸び悩みがもたらされることになるが、所得が増えないのは誰かに自分たちの所得が奪われているからだという被害者意識をもたれがちである。そうした意識を受けて、格差問題に強い関心が寄せられるとともに、世界的にポピュリズムの台頭がみられるようになった。

     ポピュリズム政治の下では、経済の潜在力を向上させるための構造改革よりも、目先の利益を過度に重視した…

    残り721文字(全文1205文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,000円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    4月30・5月7日合併号

    7月施行 使いこなす!相続法&税16 大きく変わる相続のカタチ 自宅贈与は税金にも注意 ■加藤 結花/下桐 実雅子相続法編18 もめる遺言、もめない遺言 自筆証書は「遺留分」の考慮を ■小堀 球美子21 使い込みトラブル 4パターン解説 で対処 ■大神 深雪23 いらない“負”動産 国庫帰属させる相 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    最新の注目記事

    ザ・マーケット