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経済・企業 同族経営の底力

非上場ゆえの長期戦略 赤字の「無添加石けん」「ビール」=編集部/相山豊/2

 同族経営の強みは何か。その一つは、サラリーマン社長と異なり、経営トップが長年にわたって会社のかじ取りをするため、長期的な経営方針で運営でき、ブランド力を高められる点だ。

 無添加石けんのトップメーカー「シャボン玉石けん」(北九州市)は2代目社長の森田光徳氏(故人)が17年間赤字が続いても、化学物質や合成添加物を使わない「無添加」にこだわり続けた。「環境にやさしい」というイメージを浸透させて黒字に転換し、現在は年商67億円に上る。

 当初から無添加石けんを扱っていたわけではなかった。光徳氏は洗濯機の普及が進んだ高度成長期、他社に先駆けて合成洗剤を販売し、会社を急成長させていた。しかし1974年、そんな「ドル箱」の合成洗剤の販売を一切やめる。きっかけとなったのは、大口取引先の国鉄(現JR九州)から「合成洗剤で車両を洗っているがさびやすい。天然油脂で作った高純度の粉せっけんを作ってほしい」という依頼だった。

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