はとバス 利用者8割増で安定軌道に乗った=大宮知信/3
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東京観光といえば、はとバス。実際に乗ったことがない人でも、あの黄色の車体を思い浮かべる人は多いだろう。いまでこそブランドイメージが広く浸透し揺るぎない地位を確立したように見えるが、20年前は倒産寸前の苦境にあえいでいた。
1994年に4億円の経常赤字となり、4年連続の赤字。売上高130億円に対して借入金が70億円。7回も借り換え融資を受け、返すために借りるという自転車操業だった。
はとバスの社長は代々東京都とJTBのOBが交代で務めていた。いわゆる天下りである。98年当時、経営のかじ取りを任されたのは宮端清次氏。都の交通局の局長として地下鉄大江戸線の建設に取り組んでいた。はとバスを再建しろというのが東京都からの指示。定年の65歳まであと2年しかなかった。優雅な天下り生活を送るどころか「貧乏くじを引かされたと思った」と苦笑する。
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週刊エコノミスト
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