教養・歴史書評

『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』 評者・新藤宗幸

     6年超もの長期政権となっている安倍政権の柱は、国家主義的政策と並んで「雇用」「労働」政策だ。本書は、その本質に厳しく迫るとともに、「本当の働き方改革」に向けた思考と行動を提示する。

     2018年6月29日に「働き方改革関連法」が国会で成立した。長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現などを図るかに見えるが、著者はいくつものフェイク(偽り)がちりばめられているとする。

     労働基準法は週40時間労働を原則としている。ILO(国際労働機関)第1号条約の週48時間労働より厳しい規制だ。だが労働基準法36条は、労使が協定(通称「36(サブロク)協定」)を結べば事実上、青天井の残業が可能で、長時間労働が常態となっていた。そこで働き方改革関連法は「罰則付き上限規制」を導入する。残業の上限は年間で720時間まで、繁忙期には1カ月100時間未満、2~6カ月の平均で月80時間まで…

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