中国の「シャープパワー」を研究=辻康吾
有料記事
一国の国力を、軍事力や経済力によるハードパワーと、文化、制度、価値観などの影響力によるソフトパワーに分けたのはハーバード大学のジョセフ・ナイ教授だが、最近になって、強権独裁国家が国家の意思をもって他国のメディアなどに働きかけ、自国に有利な世論を形成することが「シャープパワー」と呼ばれるようになってきた。鋭利(シャープ)な刃物で切り裂くように敵対国を分断する力という意味である。そして、その典型が中国だとされている。
『中国現代化の落とし穴』(草思社、1900円)など邦訳本も多い何清漣女史の新著『紅色滲透 中国媒体全球拡張的真相』(『赤い滲透 中国メディアの世界的拡張の真相』)は、中国の海外メディアへの浸透だけでなく、各種のシャープパワー活動を詳細に紹介し、それがどんな効果を上げているかを評価している。
残り593文字(全文947文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める