消費増税 改元の腰折る減速リスク 経済成長率0.8%下押しも=宮嵜浩
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消費税率の引き上げを盛り込んだ令和元年度(2019年度)予算が、3月27日に成立した。10月1日以降、消費税率は現在の8%から10%へと引き上げられる予定である。安倍晋三首相は予算成立後の記者会見で、消費増税の実施に向け経済運営に万全を期すとの意向を示した。
「増税無効化」の皮算用
安倍政権は過去2回、消費税率10%への引き上げを延期している。理由は2回とも「経済情勢の想定以上の悪化」だった。足元の経済情勢は決して盤石ではない。安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却への道筋は依然ついておらず、消費者物価の上昇率は政府・日本銀行の共通目標である2%を大幅に下回っている。米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱など、国際情勢の先行き不透明感も強い。にもかかわらず、政府が今年10月の消費増税後の経済運営に自信を示すのは、今回の消費増税対策を「消費増税の実質的な無効化」とみなしているためだろう。
増税を実質無効化できる、と政府が考える理由はこうだ。一般に、消費増税に伴う家計の負担増は、物価上昇分の実質所得の減少として捉えられている。今回の消費増税によって家計の実質所得は2%減少することになるが、政府は消費者物価全体の押し上げ幅を、(1)軽減税率の適用によって1.0%ポイント縮小し、(2)消費税率引き上げと同時に実施される幼児教育無償化で0.6%ポイント縮小する──と試算。さらに、20年4…
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週刊エコノミスト
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