教養・歴史書評

『敗者の生命史38億年』 評者・池内了

     本書は、地球上の生命の38億年の歴史の各節目に、どのような出来事があったかを一つ一つ取り上げ、コンパクトにまとめて生命進化がいかなる道筋かを語ったものである。原核生物として生命が誕生して以来、真核生物、多細胞生物、植物体、酸素の増大、性の分化……というふうに、年代を追って19の項目について生命進化の階梯(かいてい)をわかりやすく記述しており、さしずめ生命史豆辞典として有用である。

     しかし、本書の記述には疑問もある。一つは、生物進化を目的論的に捉えていることだ。例えば、汽水域を棲(す)みかとするようになった魚は、塩分濃度の薄い水が体内に入ることを防ぐために鱗(うろこ)で身を守り、体内にミネラルを蓄積するために骨というミネラル貯蔵施設を設けたというように、生物がある目的のために新しい構造や機能を獲得したという説明が頻々と出てくる。偶然に起こった小さくランダムな変化が生存に有利…

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