教養・歴史書評

アリやトンボになれても人間になれない組織人=孫崎享

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 元伊藤忠会長・丹羽宇一郎氏の『仕事と心の流儀』(講談社現代新書、860円)を読んで最初に思ったことは、「丹羽宇一郎氏は紛れもなく古き良き時代の日本の指導者の一人だ。でも今は時代が違う」ということである。

 私も外務省という組織で働いた。外務省事務方のトップは事務次官である。一時期まで外務省には、外務省事務次官は「最も考察力がある人」か「最も人格的に優れた人」がなるという認識があった。しかしいつの時代からか、このような共通認識はもはや機能していない。

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