トランプの危険なイラン挑発 中東で米露の代理戦争リスク=福富満久
有料記事
イランのロウハニ大統領は5月8日、2015年の核合意の履行を一時停止し、高レベルのウラン濃縮を再開すると警告した。イラン側の態度の硬化は18年5月、米国のトランプ大統領が15年に米国および5カ国(英仏独中露)とイランが結んだ核合意から離脱し、米独自の制裁を課すと発表したことに端を発する。
緊張高まるイラン情勢に対し、米国防総省は5月10日、地対空迎撃ミサイル・パトリオットを装備する艦隊と、海岸から車両を上陸させることができる輸送揚陸艦アーリントンをペルシャ湾に派遣すると発表。また、隣国イラクの米国大使館と領事館の館員に米国への帰国を命じた。中東へはすでに原子力空母エイブラハム・リンカーンを中心とする攻撃艦船群を派遣、臨戦態勢に入っている。
核兵器開発の疑惑を持たれたイランは06年以降、国連安全保障理事会の決議に基づく経済制裁下にあった。イランは15年7月、(1)遠心分離機約1万9000基を6104基に削減、(2)ウラン濃縮率を15年間で3・67%以下に制限し、保有量を15年間で300キログラム以下に制限、(3)ウラン濃縮に関する研究は10年間ナタンズ施設に限定、(4)国際原子力機関(IAEA)が定期的に査察を行う──などを承諾し、…
残り2142文字(全文2667文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める