教養・歴史書評

『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』 評者・板谷敏彦

著者 平山賢一(東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長) 日本経済新聞出版社 3800円

遅れた歴史データを整備 金融史研究に一石投じる

 本書は金融史研究において米国に比べて取り残された感があった本邦の戦前・戦時期の金融資産価格データを整備し、債券・株式各アセット(資産)のトータルリターン(総合収益)を計測したものである。

 日米欧を問わず、長らく株式の配当利回りは一般に国債利回りよりも高かった。従って歴史上、株価上昇に伴うキャピタルゲイン(資産価値上昇に連動した収益)に配当を加えた株式のトータルリターンは、債券はもちろん、見かけの株価や株価指数の変動よりもかなり大きかったと推定される。しかし、こうした分析には過去の正確なヒストリカル・データが欠かせないのである。

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