教養・歴史書評

『平成の経済』 評者・後藤康雄

     半世紀にわたり日本経済に向き合い続けてきた重鎮エコノミストが、平成期の全貌をつづった日本経済論である。著者も述べている通り、連続的に変化する経済と、年号に直接の関係はない。しかし、平成への改元はくしくもバブル絶頂期のタイミングに当たり、経済の分水嶺(ぶんすいれい)であった。その後の平成は、わが国が見習える前例に乏しい課題に翻弄(ほんろう)され続ける歴史であった。

     本書の描く平成絵巻は、絢爛(けんらん)たる極彩色の中に怪しさが垣間見えるバブル末期から始まる。「平成の鬼平」率いる日本銀行への喝采は混迷の入り口に過ぎず、幕は阿鼻叫喚(あびきょうかん)の図へと一転する。日本経済は崖っぷちで踏みとどまるも、構造改革への熱狂、政権交代への過剰な期待と失望、リーマン・ショックや未曽有の震災への緊急対応からアベノミクスへと、苦闘の連続で平成は終わる。

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