教養・歴史書評

『老舗企業の存続メカニズム 宮大工企業のビジネスシステム』 評者・加護野忠男

著者 曽根秀一(静岡文化芸術大学准教授) 中央経済社 3800円

日本が誇る宮大工企業 長寿と技術継承の秘訣分析

 日本の企業は目先の利益よりも長期的な存続を求める傾向が強い。その結果、足元の利益率は欧米と比べて低いが、長寿企業の数は欧米よりも日本が圧倒的に多い。目先の利益のために何をすべきかは分かりやすいが、長寿のための経営の秘訣(ひけつ)は何かは、あまり知られていない。本書はこの疑問に答えようとした地味な調査研究である。取り上げられているのは、長寿の宮大工企業である。

 調査対象となったのは、全国の宮大工企業、なかでも金剛組(578年創業)、竹中工務店(1610年創業)、松井建設(1586年創業)、大彦組(1704年創業)の4企業の歴史である。これらの企業がどのようなビジネスシステムを生み出してきたかが歴史的にに分析されている(ただし著者の研究中に金剛組は存続できなくなり、大手建設会社に救済されることになった)。

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