教養・歴史書評

元号の変わり目の時期に歳月の不思議を読む=楊逸

    ×月×日

     一晩寝て朝目が覚めたら、世はもう令和。10時間前の「平成」は懐かしむ「時代」になってしまった。なんとも不思議な感覚である。思えば昭和から平成に変わったのも来日して2年後に経験している。

     歳時記の季語をタイトルにつづった短編連作集『ほとほと 歳時記ものがたり』(高樹のぶ子著 毎日新聞出版、1600円)を読む。2年間にわたって新聞連載したものを本に編んだというから、目次の「春夏秋冬」も2回繰り返している。一編当たり20分ほどで読み終わるという体裁を取り、現実に起こりうるような、そうでないような、幻覚の効いた童話チックなタッチが魅力的で、すらすら読ませてくれる。

    「エイプリルフール」という一編では、洋装店経営などで大成功を収め、人を信用できない(自分の娘、息子でさえも)老婦人・結衣子が登場する。不治の病にかかって高級介護施設に入り余命を過ごすことになるが、週末ごとに孫娘が泊まりに来る。孫娘はスマートフォンの「人魚姫バトル」というゲームに熱中していて、そのゲームで、人魚姫を守る力があるという「人魚玉」なる仕掛けが大きな役目を果たすと知った結衣子は孫娘に、自分…

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