小説 高橋是清 第50話 日本銀行で働く=板谷敏彦
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ペルー銀山開発事業の失敗で是清は世間の批判にさらされるが、損失を最低限に収めた手腕を評価する者も多かった。日銀総裁・川田小一郎は是清を「玄関番」として招き入れるという。
第50話 日本銀行で働く
明治25(1892)年5月の中ごろ、是清は再び川田小一郎日銀総裁から呼び出しを受けた。
「君は、ご維新前に金座があった場所を知っているか?」。是清はうなずいた。
「実は今あそこに日本銀行の本店を建築中だ。総監督は安田善次郎さんだが、その下で唐津の出の辰野金吾君が技術部の監督をしている」
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