週刊エコノミスト Onlineグラフの声を聞く

米国の債務比率と所得格差は表裏一体=市岡繁男

 米国の債務比率(債務総額÷名目国内総生産〈GDP〉)はいま1933年のピークを上回る(図1)。債務比率とは実体経済に対する金融経済の規模を示すもので、大恐慌と世界大戦を経てその比率が正常化した後は、戦後しばらく安定的に推移していた。これは過度な金融緩和は経済の安定を損なうとして規制されていたからだ。

 それが80年代前半、当時のレーガン米大統領が行った一連の金融改革で状況が一変する。各種規制の撤廃で金利が低下し、金融経済の規模は再び拡大に転じたのだ。最大の受益者は金融業界、そして多額の金融商品を保有する富裕層だった。債務比率の拡大と所得格差が連動しているのはこのためで(図1)、こうした富の集中は米国のみならず世界共通の現象だ(図2)。

残り245文字(全文566文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

3月19日・26日合併号

株価4万円突破! 勝つ投資16 新NISAで歴史的高値到来 時間を味方にしっかり分散■編集部19 インタビュー 代田秀雄 三菱UFJアセットマネジメント常務 アクティブ偏重に疑問 低コストにこだわり19 使わなきゃ損! 投資非課税の新NISA 無期限化と枠拡大&復活■編集部20 新NISA 日本株、 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事