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ベンチャー転職 失敗する人の4パターン 大企業引きずる「おじさん」=高野秀敏

(出所)筆者作成
(出所)筆者作成

 国内のベンチャー企業への投資額(2018年)は約4000億円で過去最高を更新。大型の資金調達をするスタートアップが増えたことにより、以前よりも、投資銀行など金融機関出身の人、監査法人出身の公認会計士などの採用ニーズが増加傾向にある。金融機関やコンサルタント会社からベンチャーに転職して役員やCFO(最高財務責任者)などになっている人は多い。

 ただし、大企業とスタートアップ、ベンチャー企業では、その規模、環境は大きく異なる。こんな人はベンチャー転職に失敗しがちな4パターンを紹介しよう。

 その1 動かない人

 まずは、動かないおじさんである。大企業でそれなりのキャリアを積んだ人であれば部下やアシスタントがおり、自分で動き回ることは少ないだろう。だが、ベンチャーで、特に30人ぐらいまでの規模の会社では、特定のポジションで入ったとしても、一人で二役、三役、こなさなければならないことも多い。このような状況が楽しめて、仕事を選ばないタイプの人が向いている。「マネジメントで来たのに、なんで自分が」という姿勢では周りは付いてこない。 「大企業から動かない&使えない人がやってきた」と言われないように、少なくとも周囲の信頼を得て軌道に乗るまでは、率先して汗を流すことが大切だ。

 その2 大企業の看板

 続いて、大企業ブランドを引きずっている人である。大企業時代に築いた取引先が、転職後も簡単に取引してくれると思ったら大間違い。大企業にいたから取引していたのであって、辞めた後に支援してくれることは少ないのが現実だ。自分の本当の実力が試される場と考えた方がよいだろう。

 その3 仲間への期待値

 3番目が、一緒に働く仲間たちへの過度な期待である。特に前職が、いわゆる就職偏差値が高い銀行やコンサルタント会社のようなところで働いていた場合、そこにはいなかったようなタイプの人も多い。

 前と同じように仕事を進めようとしても、うまくいくとは限らない。こうした人材を成長させることも仕事のうちで、嘆いている暇はないのである。

 その4 コスト意識がない

 最後が金銭感覚のずれだ。大企業の時のように、使える交際費や経費が潤沢にあるわけではない。何でも経費で落とせると勘違いする人もいるようだが、コスト意識が求められる。飲んでばかりで経費を使うだけの大企業出身者と思われないように気をつけよう。

 ベンチャー転職を考えるのなら、まずは興味のある企業をボランティアで手伝ってみるのもいいだろう。中に入れば、いろいろなことが分かる。また、ツイッターやフェイスブックはぜひ、始めてほしい。ベンチャー経営者と知り合いになれる可能性が高い。

(高野秀敏 キープレイヤーズ社長、キャリアコンサルタント)

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