教養・歴史書評

驚異的な速度で著作続々 「古典中国」の渡邉義浩氏=加藤徹

書評を書くのが追いつかない驚異的な速度で、良質な著作を続々と出す学者がいる。「古典中国」を専門とする早稲田大学の渡邉義浩教授だ。

 直近に限っても、4月に『始皇帝中華統一の思想』(集英社新書)、5月に『漢帝国』(中公新書)、6月に『人事の三国志』(朝日選書、1700円)と『三国志演義事典』(仙石知子氏との共著、大修館書店)、さらに『別冊NHK100分de名著 集中講義 三国志 正史の英雄たち』(NHK出版)が出た。この7月にも数冊の新著が刊行予定である。月刊誌どころか週刊誌に近いペースだ。

『始皇帝 中華統一の思想』の副題は「『キングダム』で解く中国大陸の謎」。『週刊ヤングジャンプ』で連載中の歴史漫画『キングダム』の読者を対象とするが、この人気漫画を読んだことのない一般の読者にも、中国史の秘密がサクサクわかる。始皇帝の秦から中華人民共和国まで、歴代の中国は世界最大の専制的統一国家を作った。こんな地域は世界史上、中国だけだ。その秘密は「法家思想」にある。

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