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週刊エコノミスト Online 学者が斬る・視点争点

成長持続の条件は産業の淘汰=堀井亮

(注)2011年の米国の物価に換算した1人当たりの実質GDPの推移 (出所)マディソン歴史統計(2018)より筆者作成
(注)2011年の米国の物価に換算した1人当たりの実質GDPの推移 (出所)マディソン歴史統計(2018)より筆者作成

好対照の日本の戦後と平成

 現代の経済成長は産業革命から始まった。米国では1870年ごろから1人当たりの実質所得、つまり豊かさは毎年平均約2%成長し、現在まで続いている(図1)。1870年から現在までの150年間、2%成長の複利計算をすると、1人当たりの豊かさは約20倍になっていることになる。

 日本はどうだろうか。1990年代初頭のバブル崩壊以来、物価変動を反映した名目GDP(国内総生産)はほとんど増えず「失われた30年」と呼ばれることもある。しかし、名目GDPから物価変動分を除いた実質GDPの成長率(実質経済成長率)を見ると、遅いながらも着実に成長している。

 デフレで物価が下がった分、同じ金額で多くのもの、あるいは質の高いもの、便利なサービスを買えるようになっているのだ。確かに、90年にはスマートフォンどころかインターネットも普及しておらず、東京から大阪まで固定電話で通話すると、3分330円もした。ダイソーの100円ショップもまだなかった。同じ額面の給料でも、今の方が豊かな生活ができているのだ。

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