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揺らぐ香港の「1国2制度」 「大湾区構想」に暗雲漂う=岩下祐一

深圳対岸にある香港の落馬洲(写真奥)では「深港創新・科技園」の建設が進む(筆者撮影)
深圳対岸にある香港の落馬洲(写真奥)では「深港創新・科技園」の建設が進む(筆者撮影)

「逃亡犯条例」の改正案をめぐる香港の混乱は、広東省・香港・マカオを一大経済圏とする「大湾区(グレーターベイエリア)」構想が本格的に動き始めた直後に起こった。混乱が長引けば、香港の将来にとって重要な同構想が頓挫し、香港経済が中長期的に低迷する可能性もある。

 同構想は香港、マカオ、広州、深センなどの各都市が連携し、2022年までにニューヨークや東京に並ぶ世界的ベイエリアの基礎を作り、35年に完成させる計画。すでに18年9月、広東省と香港を結ぶ高速鉄道が開業、翌10月には広東省と香港、マカオを結ぶ世界最長の「港珠澳大橋」(約55キロ)が完成している。中国政府は今年2月に計画綱要を発表し、香港政府も日本など海外でのプレゼンテーションを始めていた。

 香港経済は1997年の中国返還後、アジア通貨危機にITバブル崩壊、新型肺炎(SARS)騒動が重なり停滞。だが04年以降、渡航規制の緩和による中国人観光客の急拡大と、中国企業の香港市場への新規株式公開(IPO)ラッシュをカンフル剤に復活する。一方、中国の高度経済成長を背景に、かつて強みだった海運は、上海や寧波などの都市に追い越された。残された優位性は金融と空輸だが、いずれも中国企業が猛追し安泰では…

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