週刊エコノミスト Online書評

『測りすぎ なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』 評者・服部茂幸

著者 ジェリー・Z・ミュラー(アメリカ・カトリック大学教授) 訳者 松本裕 みすず書房 3000円

「成果の数値化」が陥る罠 成果主義が成果下げる逆説

 世界で「測定執着」という病が広がっている。それは、(1)数値化された測定基準を設定し、(2)個人・組織の成果をそれによって評価し、(3)成果に対し報酬と懲罰で報いるというものである。「プリンシパル=エージェント(利益のための労務を他に委任すること)」「ニュー・パブリック・マネジメント(民間の経営手法を公共サービスに取り入れる考え)」といった経済理論がこの病を促進させていることも本書が書く通りである。

 本書はビジネスの現場にいる人間が業務の改善のために数値データを使用することは否定しない。しかし、現場を知らない人間が画一的な基準を上から押しつけた時、特に成果の測定のために押しつけた時、測定基準は失敗すると主張する。

残り830文字(全文1215文字)

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