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テクノロジー アフリカで儲ける

ナイジェリアでスタートアップが続々 遠隔診療、血液のドローン輸送も=椿進

ルワンダのBabylのオフィス(Babylon提供)
ルワンダのBabylのオフィス(Babylon提供)

 ナイジェリアで2012年に創業した電子商取引サービスのアフリカ最大手「Jumia Technologies(ジュミア・テクノロジーズ、JMIA)」(登記上の本社はドイツ)が今年4月、米ニューヨーク証券取引所に上場した。上場時の時価総額は約2056億円。アフリカ初のユニコーン企業としての実力をみせつけた。

 アフリカでは、JMIAに続く有望スタートアップが次々に誕生している。もっとも熱いのは物流だ。代表格はナイジェリアの「Kobo360(コボ360)」。トラックの運転手と企業を結びつけるマッチングサービスで世界の注目を集める。

 インターネット上のサイトに行き先や荷物の種類、物量を入力すると、即座に空いているトラック、ルート、価格が表示される。物流会社にとっても稼働率アップなどのメリットがあり、爆発的に利用が広がった。1カ月の売り上げは既に3億円を超え、3年後には1000億円を突破するとみられている。日本のベンチャーでは考えられないスピードだ。

 創業者のオビ・オゾール氏は米国ペンシルベニア大学を卒業後、JPモルガン、Uberなどでの勤務経験がある。私がラゴスのオフィスに彼を訪ねたのは今年6月。投資ラウンドの新局面を迎え、世界的に著名な投資家がリードインベスターとして入っていた。「世界一の物流プラットフォームにする」と豪語する若き起業家は、日本からやってきた投資家に一体何ができるのか品定めをしているようにみえた。

医療では「先進国発」も

 物流の次に活気づいているのは医療の分野だ。インド系南アフリカ人、シャラーン・アマド氏が南アで創業した「RecoMed(リコメド)」は、表向きは病院の予約サービスだが、予約時の簡単な問診と医師から送られてくる診断結果から、ビッグデータを蓄積する。月に4万~5万件の利用があり、大手製薬会社や保険会社が大きな関心を寄せる。医療の重要インフラになる可能性を秘めている。

 医療分野では、先進国で創業後、アフリカで商用サービスをスタートさせる事例が少なくない。アフリカは規制や既得権益者が少なく、新たなサービスを受け入れる土壌があるからだ。ルワンダ政府は自らを「実験場国家」と呼び、こうした取り組みを推奨する。

 イギリス人のアリ・パーサ氏がロンドンで創業した遠隔診療の「Babylon(バビロン)」もその一つ。ルワンダでは「Babyl(バビル)」の名で事業を展開する。今年2月に首都キガリのオフィスを訪ねると、ヘッドセットを着けたドクターとナースが、各ブースでパソコンに向き合い、次々に入る患者からのコールに応じていた。

 患者の8割は、医師の不足する農村部のヘルスセンターにいる。スマホアプリで事前問診を受け、モバイル決済(200ルワンダ・フラン=約20円)を済ませてからコールする。バビロンが病院に紹介するケースはわずか13%。9割弱は遠隔診断で完結していることになる。

 提携するドクターとナースは各60人で、1日約2000コールをさばく。訪問時には5人のドクターと30人のナースが勤務していた。事前問診で診療時間を短縮し、効率化を徹底している。今年2月までにルワンダの人口の17%に相当する延べ200万ユーザーが利用した。

 ドローンで血液を運ぶ米国・シリコンバレー発のベンチャー「Zipline(ジップライン)」はルワンダ、ガーナで商用サービスを行い、国内の血液運搬の約6割を担う。固定翼型のドローンを時速約80キロで病院の上空まで飛ばし、パラシュートで血液を落とす。フライト数は1日約200回で、世界でもトップクラスの実績を誇る。

 新しいサービスには既存のルールを破壊する威力がある。アフリカから、世界が変わるかもしれない。

(椿進、アジア・アフリカ・インベストメント&コンサルティング(AAIC)代表パートナー/CEO)

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