経済・企業

編集長インタビュー 平岡昭良 日本ユニシス社長

    Photo 武市公孝:東京都江東区の本社で
    Photo 武市公孝:東京都江東区の本社で

    新たなサービス型ビジネスに注力

     Interviewer 藤枝克治(本誌編集長)

    ── 注力事業としてキャッシュレスを挙げています。

    平岡 小売店がスマホやICカードなどを使ったモバイル決済を使えるようにする仕組みを提供しています。現在、いろいろな種類のモバイル決済が登場し、競争が激化していますが、われわれのサービスは、中国のアリペイやウィーチャットペイなど海外のものも含めて、13種類のモバイル決済を使えることが強みです。

    ── スマホ決済のベンチャー企業、Origami(オリガミ)と提携しました。

    平岡 地域の小売り・サービス店と金融機関とのスムーズな連携を促し、使う人の利便性向上や来店者数の増加に貢献しています。また決済データと、顧客に関する多様なデータの組み合わせをもとに、デジタルマーケティングサービスを共同で開発します。

    ── 他のスマホ決済との違いは何ですか。

    平岡 多くのモバイル決済は、決済する側が購買データを取得します。つまり誰がいつどこの店で何を買ったのかという情報は、決済を担う事業者が持っているわけです。それに対してオリガミは一部で、小売店や企業に購買などの顧客データを提供しています。顧客データの活用は今後のキャッシュレスの鍵になると思います。魅力あるビジネスモデルだと見ています。

    ── キャッシュレスの今後の展開は。

    平岡 顧客の購買データとポイント、クーポンなどのサービスを連動させると、いろいろなマーケティングや販売促進活動ができます。われわれが展開している「スマートキャンペーン」という仕組みでは、商品メーカーが実施するキャンペーンを小売店の会員サイトやスマホアプリに配信し、来店と購買の促進につなげられます。既にこの仕組みは、多くの小売店に採用されています。今後キャッシュレス化が進んでいくと、もっと面白いキャンペーンや販促活動ができると期待しています。

    人を増やさず業績向上

    ── IT(情報技術)のシステム開発が主力事業ですが、事業環境は。

    平岡 従来の企業向けシステム開発は、顧客の業務の効率を上げるためのものでした。しかし、デジタル技術の普及により、競争優位をいかにつくるかを顧客と一緒に考えることが求められるようになりました。この変化を見越して、デジタル技術を用いた新しいサービスを提供するビジネスモデルへの転換を図っています。

    ── どのように新サービスを生み出すのですか。

    平岡 新たに人を増やしたり部門を設けるのではなく、社員には既存事業の仕事を行った上で新しい事業にチャレンジすることを奨励しています。みな、新しいことをやりたいので、既存事業をいかに効率的に行うかを考え、社外のリソース(人などの資源)を活用したりして、生産性が3割上がっています。

     また新しい事業については、失敗を許容する風土をつくり、取り組みやすい環境を整えました。新しいサービスの事業は利益率が高いので、案件が増えるほど業績に貢献します。その結果、社員数を増やさずに業績が上がり、2019年3月期決算は過去最高の営業利益を計上しました。

    クルマにも応用

    ── カーシェアリングなどMaaS(マース)(移動のサービス化)ビジネスにも力を入れています。

    平岡 自動車関連ではマース以前に、電気自動車の充電スタンドをネットワーク化しています。スマホやカーナビから利用可能な充電スタンドを探して、予約し、利用した後で決済する仕組みです。これはカーシェアリングをはじめとするシェアリングエコノミーに使えます。

     マースの取り組みでは、京阪バス(京都市)と滋賀県大津市と提携し、利用者が必要なときにバスを走らすオンデマンドバスの実証実験を行います。

    ── どんな内容の実験ですか。

    平岡 まず近距離は自動運転が可能かどうかを検証します。次にどのくらいの人がどの方向に行こうとしているかという人の流れを解析します。地方のバス会社は稼働率が低く、これから運転手不足も問題となります。そこでバスが必要とされる場所を把握し、運行の効率を上げていきます。さらに定期運行はできるだけ自動運行にします。

    ── どの部分を担当しているのですか。

    平岡 シェアリングと同じで、バスの利用者が何時に乗りたいのかなどを把握し、乗車予約や支払いなど、アプリを活用したサービスを展開します。このシステムをわれわれが提供します。実験の成果が、今後のマース事業の拡大につながると期待しています。

    (構成=村田晋一郎・編集部)

    横顔

    Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

    A 営業で仙台にいました。一つの業種ではつまらないと思い、すべての業種を担当しました。今、われわれは異業種との連携を進めていますが、そのときの経験が生きています。

    Q 「私を変えた本」は

    A 社長就任時に経営戦略を考える際に孫子の「五事」は参考になりました。

    Q 休日の過ごし方

    A オープンカーのドライブが好きで、ゆっくり自動車旅行ができる3連休を大事にしています。


     ■人物略歴

    ひらおか・あきよし

     1956年生まれ。金沢大学付属高校卒業、80年早稲田大学理工学部卒業、日本ユニバック(現・日本ユニシス)入社。2002年執行役員。常務、専務などを経て、16年4月から現職。石川県出身、63歳。


    事業内容:ITシステム、ITソリューションサービス

    本社所在地:東京都江東区

    設立:1958年3月

    資本金:54億8317万円

    従業員数:7740人(2019年3月現在、連結)

    業績(19年3月期、連結)

     売上高:2990億2900万円

     営業利益:206億2200万円

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