国際・政治 闘論席

食糧安保の時代 せめて減反はやめましょう 片山杜秀

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

片山杜秀の闘論席

 八郎潟や諫早湾の干拓事業は戦後初期に計画された。

 大戦争による軍隊と軍需産業への根こそぎ動員のせいで、農地も河川も荒れ放題。本土の台所をかなり賄っていた朝鮮や台湾や満州の農業地帯も日本から切り離される。米は戦前からかなり朝鮮米頼みだった。それがなくなる。さらには外地からたくさんの日本人が本土に送還されてきた。当然ながら食べ物が足りない。まさに飢餓列島である。もっと米を作れ。農地拡大のための干拓事業が国策になった。

 でもその種の事業は長期間を要する。干拓しているうちに時代が変わった。米が余るようになっていた。以来、この国はずっと減反を国策にしている。安倍晋三政権の「ことばの政治」で減反は終了したことに表向きはされたけれど、実質的には今日も続いている。

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