強気の米国株も本格調整はこれから=藻谷俊介
トランプ米大統領が貿易戦争のギアを上げるたびに一旦は下落する米国株価だが、しばらくするとじわじわと上昇し、米国経済に対する根強い楽観論を示している。一方で米国の長期金利は低下傾向が続き、米国経済の調整と利下げ期待を示し続けている。
この矛盾する動きを合理的に説明しようとして、過去数カ月、世界中のエコノミストが苦心している。そのうちの一つの楽観的な解釈が、金利は現状を示し、株価は未来を示している、すなわちしばらくすれば米国と世界経済は貿易戦争を乗り越えて底入れしてくる、という説である。確かに議論そのものはもっともなのだが、筆者は2017年以降の景気サイクルに関して、もう少し精緻な観察が必要なのではないかと考えている。
図は、経済協力開発機構(OECD)先行指数のサイクル部分を表示したものである。先行指数といっても発表当初は先行性がほとんどないので、景気の現状を国際比較するのに便利な指数といった方がいい。統計からの機械的な算出値なのでOECDの組織的なビューは入っていないし、OECDの公的景気見通しとも一致するとは限らないが、それ故にある種の客観性がある点も有用である。
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週刊エコノミスト
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