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映画 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド=勝田友巳

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

実際の猟奇事件を下敷きに タランティーノ節満載の最新作

 クエンティン・タランティーノ監督の新作を見ながら思い出したのは、フランスの巨匠、ジャン・リュック・ゴダール監督。いやもちろん、物語の内容も語り口も映像も、似ても似つかない。しかし、アタマの中にぎっしり詰まった映画史の記憶と知識を、縦横無尽に引用したりパロディーに仕立てたりするところ、映画へのあふれんばかりの愛情でそれがイヤミにもペダンチックにもならないところ、なんだか同じニオイがする。もっともタランティーノ映画からは、無邪気な子供のようにはしゃぐ監督の姿が見える気がするのだが。

 舞台は1969年のハリウッド。テレビの西部劇スターだったリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、映画に転身しようと苦戦中だ。そろそろ落ち目で若手相手の引き立て役ばかり、イタリアのマカロニウエスタンに誘われたりする。リックのスタントマン、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)は、撮影に同行するだけでなく、リックを励ましたりグチを聞いたりといつも一緒で仲がいい。一方、リックの邸宅の隣には、ロマン…

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