映画 パリに見出されたピアニスト 才能を見出された貧しき青年 王道かつ新たな音楽映画の誕生=野島孝一
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たまにNHK BS放送で「駅ピアノ」という短いドキュメンタリー番組を見ることがある。ヨーロッパ各地の駅や空港にはピアノが置いてあり、だれでも自由に弾くことができる。弾く人はたいてい素人のいたずら程度だが、たまにはプロや音大生が弾くことがあって、周りには黒山の人だかりができる。この映画には、そんな光景を見た監督の思いが結実した。
パリ郊外の団地に住む青年マチュー(ジュール・ベンシェトリ)は、貧しい家庭で育った。住環境も最悪で、仲間たちはさまざまな悪に手を染めている。マチューもその環境から逃れられないが、子どものときに近所の老人から教わったピアノだけが心の支えになっている。
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