映画 宮本から君へ 暑苦しいまでの汗、血、涙── 昭和気質の愚直なザ・恋愛映画=寺脇研
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原作漫画が『モーニング』誌上で連載されたのは1990~94年。男女雇用機会均等法により女性の社会進出が一般化し、セクハラという言葉が使われるようになるなど、昭和までの旧弊な社会慣習を打破して新しいスマートな時代を作ろうという気運に満ちた平成初期である。そんな時流にまったく乗らず、旧来通りの世界を生きる人々を描いて注目を浴びた作品だ。
主人公の宮本は、愚直なまでに熱い思いを貫き、真っ直ぐに生きる駆け出しサラリーマンである。文具メーカーの営業マンでありながら、営業スマイル一つできず、捨て身の飛び込み営業でようやく成果を上げるような若者だ。時代遅れのがむしゃら一辺倒な生き方は、熱い反面、周囲には暑苦しく感じられる。
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