新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online アートな時間

美術 塩田千春展:魂がふるえる もつれ合い、絡み合う糸 広大無辺な世界、普遍的な問いへ=石川健次

<不確かな旅> 2016/2019年 鉄枠、赤毛糸 サイズ可変 Courtesy:BlainlSouthern,London/Berlin/New York 撮影:Sunhi Mang 画像提供:森美術館
<不確かな旅> 2016/2019年 鉄枠、赤毛糸 サイズ可変 Courtesy:BlainlSouthern,London/Berlin/New York 撮影:Sunhi Mang 画像提供:森美術館

フレームだけの舟から無数の赤い糸がもつれ合い、絡み合いながらつながり、広がっている。図版の作品だ。展示空間全体を作品化するインスタレーションと呼ばれる手法の作品である。赤い糸に“運命の赤い糸”を思いつつ、そのようなロマンティックな香りと無縁にも思う。はかなげな舟に、例えば小舟を頼りに海を渡る難民を思いつつ、よそごとと突き放せない、すでに私も抱えていることのようにも思う。

 1972年大阪生まれで現在はベルリンを拠点に国際的に活躍を続ける塩田千春に本展は迫る。大規模なインスタレーションをはじめ、立体作品や映像、写真、舞台美術など多彩な作品に取り組む塩田の「25年にわたる作家活動の全貌を網羅的に紹介する初めての機会」(図録から)だ。

残り846文字(全文1163文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事