グリーンランド「買収」の波紋 トランプ流の中国進出への“警告”=北島純
有料記事
この夏、トランプ米大統領がデンマーク領のグリーンランド買収を提案したことが波紋を広げている。きっかけは8月16日、米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が「元不動産王のトランプ氏がグリーンランドの天然資源や地政学上の重要性に興味を示し、米国がグリーンランドを買収することができるか補佐官に相談した」と報じたことだ。トランプ大統領は同18日、「政権の最優先事項ではない」としながらも「戦略的な関心を持っている。本質的には不動産取引の大型案件だ。デンマークは毎年(グリーンランドへの補助金で)7億ドル(約750億円)を失っているが、同盟国としてデンマークを助けたい」と記者団に認めた。
これに反発したのがデンマーク中央政府とグリーランド自治政府だ。デンマークのフレデリクセン首相はこの時、グリーンランド「首都」ヌークに滞在中だった。6月27日にデンマーク史上最年少の41歳で首相に選出された後、初めて自治領グリーンランドを訪問していた彼女は、「ばかげた議論だ」として一蹴した。また、グリーンランド自治政府のキールセン首相も「グリーンランドは売りに出ていないし、売ることもできない」と不…
残り3273文字(全文3765文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める