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インド株 利上げは追い風ならず=児玉卓

 10月中旬の米中閣僚級協議で「部分合意」が成立し、米中摩擦激化の懸念がいったん遠のく中、新興国の利下げモードが継続している。インドも10月に現局面で5回目となる利下げを決めている。他のアジア諸国の利下げが景気堅調の中で行われる「予防的利下げ」の色彩が濃い一方、インドの場合は明確な景気減速を受けたものだという違いがある。また、乗用車販売が9月まで6カ月連続で前年比2桁減少するなど不振を極める背景の一つに金融機関の貸し渋りがあるとされているが、こうした状況下では中央銀行による利下げが貸出金利などへ速やかに波及しにくくなる。累計利下げ幅の大きさをそのまま株価の支援材料とはしにくいということだ。

 むしろ足元で食料品価格の上昇などを受けてインフレ圧力が徐々に高まっていることに注意したい。これは一義的には利下げ継続を困難にする要因だが、インフレ圧力が高じる中で利下げを継続すれば通貨下落への警戒が必要になる。

(児玉卓・大和総研経済調査部長)

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