持続可能な経済社会目指す EUの「タクソノミー法案」=金子寿太郎
有料記事
タクソノミー法案が生まれた背景から説明しよう。
EUは、2015年のパリ協定あるいは国連の持続可能な開発目標(SDGs)の合意以降、持続可能な経済の実現に向けた対応を本格化させている。今後5年間のEUのかじ取りを担うフォンデアライエン次期欧州委員長は、5月の欧州議会選挙で環境系会派を躍進させたEU市民の意向を受け、温室効果ガスの排出量を30年までに1990年比50%削減した上で、50年までに同ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げた。これを実現するために、具体的なEU版グリーンディール政策を就任から100日以内に発表すると公約している。
もっとも、それには技術開発、インフラ開発、助成金などに巨額の資金が必要となる。年間2900億ユーロ(約34・8兆円)とも試算される追加投資を公的資金だけで賄うことは現実的ではない。このため、EUは金融市場の資金を振り向けるべく、域内資本市場の統合や活性化も図りつつ、環境・社会・ガバナンス(ESG)に考慮したサステナブルファイナンスと呼ばれる新しい金融の振興を最優先の政策課題に据えている。
残り3841文字(全文4312文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める