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週刊エコノミスト Online 書評

『叱られ、愛され、大相撲! 「国技」と「興行」の一〇〇年史』 評者・池内了

著者 胎中千鶴(目白大学教授) 講談社選書メチエ 1750円

「日本的曖昧」の近現代史 外地にも及んだ熱狂の「国戯」

 幕内力士が暴力事件を起こしてクビになり、横綱白鵬の「品格」は何度も横綱審議会から注意を受けた。大相撲はゴタゴタを起こして騒がせ、その場限りの手打ちでなんとなく抑え込み、何事もなかったかのごとく「興行」は続き、人気は衰えない。まさに「国技」と呼ばれるにふさわしい日本的曖昧体質と言えよう。

 本書は、そんな大相撲100年の歴史を、「国技」と「興行」という相対立するキーワードで語ったものである。その力点は戦前に置かれており、登場人物の多くは力士ではないのが特色だろう。著者は台湾史が専門で、本書の舞台も植民地台湾や満州にまで及んでおり、相撲を軸とした日本の近現代史ともいえる。

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