米でグローバル化の功罪議論 製造業や労働者は“犠牲者”か=岩田太郎
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トランプ米大統領は9月24日の国連総会演説で、「賢い指導者はいつも自国民と自国の利益を最優先に考える。未来はグローバル主義者のものではなく、愛国者のものだ」と主張し、改めてグローバル化を攻撃した。経済や安全保障面から過去数十年のグローバル化の功罪を振り返る議論が盛んになっている。
ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授は10月10日付のブルームバーグ論説サイトで、「グローバル化が急速に進行した1990年代初頭の研究で、『貿易の増大が経済格差の拡大に及ぼす影響は、わずかなものにとどまる』との誤った合意を形成した学者の一人として、何を見過ごしたかを振り返りたい」と自己批判した。
クルーグマン教授は、「90年代初頭、途上国からの輸入増大は比較的小規模であり、米国の賃金を押し下げることはほとんどなかった。しかし、これはその後20年間に貿易量と貿易赤字が巨大化する超グローバル化の先駆けであった。これにより米労働者は打撃を受け、反動として脱グローバル化への動きが生まれた」と指摘した。
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週刊エコノミスト
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