人種逆差別に不正入学 大学入試が招く狂乱=小林知代
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筆者には大学進学を控えた10代の息子がいるが、最近、インド系のママ友から「大学入試の願書には、アジア系の欄をチェックするのはやめておいたほうがいい」と忠告された。
歴史的に市民権問題に悩まされてきた米国では、人種に関わらず公正な教育機会を与える政策として、長く人種の統計を取っており、大学の入学願書にも白人、アフリカ系アメリカ人、先住民、アジア系など人種を記入する欄がある。バランスよく人種を構成するには、共通試験や学校の成績が優良だからといって特定人種ばかりを合格させることはできず、アジア系学生はトップ大学に入りにくくなっていると言われている。現に昨年、ハーバード大学への入学不合格となった中国系アメリカ人の学生が、逆差別だとして大学側を訴えた。判決では、学業だけで入学を決めてはいないとする大学側の言い分が通った。アジア系学生にとって勤勉で成績優秀であることが逆効果になるという、なんとも皮肉な結果を招いている。
米国の場合、高校2年生ぐらいから大学進学を意識し始める。志願校を選定する際、まず、東海岸、南部、西海岸など、地域を絞り込む。特に東海岸にはアイビー・リーグと呼ばれるハーバード大学などの名門校が多く、ボストンは200以上の大学が立地する。筆者の周りでは、地元の大学に入学して自宅から通学するというケースもたまにはあるが、大抵の場合は、自宅から離れて独り立ちしたいと考える学生が多い。
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週刊エコノミスト
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