混迷のイスラエル組閣 湾岸諸国との融和が停滞=玉木直季
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サウジアラビアなど中東のイスラム教国で売られている地図にはイスラエルという国が存在しない。世界的にイスラエルと記されるその場所には、大きくパレスチナと書かれているのである。
怨念(おんねん)を体現するかのように、イスラエルとアラブ諸国は数次の戦闘を繰り広げてきた。しかし、大きな武力衝突は1973年の第4次中東戦争以来起きていない。
イスラエルは安全保障の多くを米軍に頼ってきた。しかし、近年、米国は中東撤退を加速している。2015年の時点では4万人弱だった中東の米兵は18年時点で1万9000人、さらに撤退が進む中、今年10月にシリアからの撤退を正式発表したのは記憶に新しい。そして、米国に代わって中東への関与を強めているのがロシアだ。現地への軍の駐留など、米国のように資金力が必要な安全保障を提供できないロシアは、政治力に加えて…
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週刊エコノミスト
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