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仏の現実主義 露に急接近するマクロン大統領 中露関係に「くさび」を打つ=渡邊啓貴

欧州のニューリーダーとして急速に存在感が高まる(中央がマクロン氏)(Bloomberg)
欧州のニューリーダーとして急速に存在感が高まる(中央がマクロン氏)(Bloomberg)

 マクロン仏大統領が英『エコノミスト』誌で、NATO(北大西洋条約機構)を「脳死」と痛罵し、欧州との同盟を軽視する米国をけん制する中、フランスとロシアの接近が話題を提供している。

 本年9月上旬、2014年春にウクライナ危機が始まってからずっと中断されていた「仏露2+2(外相・防衛相会議)」が再会された。仏露の「2+2」は1990年代、まだヨーロッパ諸国がロシアの民主化を多いに期待していた時代の産物だった。

 ウクライナ危機の中でのロシアのクリミア半島併合とその後のウクライナ東部ドンバス地域の一部の支配は、08年のロシア・グルジア(現ジョージア)戦争(南オセチア紛争)とともに、「冷戦後」の世界秩序の大きな分岐点だ。とくに前者はウクライナとの間での冷戦後の外交条約を踏みにじった行為として深刻だった。当然、これに対して欧州連合(EU)は米国とともに経済制裁を実施している。

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