宇宙誕生までさかのぼる人間の壮大な歴史と限界=本村凌二
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「グローバル」という言葉が口にされるようになって久しい。人間、物資、情報が地球規模で交換・交流されるようになり、昨今、世界史や人類史などが重んじられている。しかし、生物の中の一種でしかない人間が地上に70億人もはびこっている現状では、気候変動と生物多様性の減少はとりわけ深刻である。そこでデイヴィッド・クリスチャン『オリジン・ストーリー 138億年全史』(筑摩書房、2200円)は宇宙の誕生までさかのぼり、そこから人間の歴史と運命を見渡そうとする。
「第Ⅰ部 宇宙」では、アインシュタインは20世紀初期、宇宙は大きな次元では変化していないと確信していたが、真空では無から何かが現れると考える量子物理学が発展し、現在では「ビッグバンが起こり宇宙は膨張している」が通説になっていると述べる。恒星や銀河は進化と崩壊を繰り返しながら宇宙を化学的に豊かにし、複雑な分子が生まれる。そこから地球や月のような新しい天体が形成されるようになったという。
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