教養・歴史書評

気鋭の近代史研究者 陰謀史観ギリギリの提起=井上寿一

     加藤陽子『天皇と軍隊の近代史』(勁草書房、2200円)は、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫、750円)などで広範な読者を獲得している日本近代史研究者による論文集である。「著者の本気は読者に伝わる」をモットーにおくるシリーズ「けいそうブックス」の一冊である本書は、体裁こそソフトカバーで手に取りやすいけれど、気軽な気持ちで読み始めることができるようにはなっていない。「著者の本気」を理解するにはそれ相応の準備が必要である。

     まずは長めの「総論 天皇と軍隊から考える近代史」の助けを借りながら、読み進めるのがよさそうである。昭和が始まる頃、天皇はイギリスを模範国とする立憲君主国としての日本をめざしていた。1920年代において、そのような立憲君主国=日本は、政党内閣制と協調外交を展開する。ところが30年代に入ると、政党内閣制は崩壊する。協調外交も行き詰まる。

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